コミュニケーションスキル とある管理職シリーズ

傾聴の基本姿勢と善意の関心の重要性 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編2

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こんにちは! とある管理職です。

僕の「とある管理職が体験した超実践ビジネススキル」シリーズでは、とあるグローバル企業での国内外マネジメント経験と知識をもとにビジネスに携わる方が実践できるマネジメントスキルについて語ってゆきたいと思います。

今回のシリーズ5回目では、フリーラいてンサーにも役に立つ「傾聴の基本姿勢と善意の関心の重要性~とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編2」と題してお届けいたします。

前回の記事は「聴くから始めるコミュニケーションスキル~とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編1」をご覧ください。

相手の話を率直に聴きたい姿勢を示す重要性

聴くから始めるコミュニケーションは、相手の話を聴くことで相手の言い分、相手の考え方を理解し、解釈することでコミュニケーションの作戦を立てながら相手とやり取りをすることを目的として行いますが、相手が話をしてくれなければ成立しません。

コミュニケーションは一方通行では成り立ちませんから、いかに相手に話をしてもらうかがポイントになります。

コミュニケーションの場面では、目の前にいる相手に話す気を起させることがとても大切です。

「あなたの話をしっかり聴きます」
「あなたが言いたいことを正面から受け止め、理解、共感できるよう努めます」
「だから、私を信頼して話したいことを率直に話をしてください」

といような姿勢を相手に示すことが重要となります。

そのためにとても大切な考え方、対人関係を築く「ストローク」と対人関係を損なう「ディスカウント」について理解しておきましょう。

ストロークとディスカウントについて

対人関係を良好に築くには、次の点について考える必要があります。

・周囲の人とどう係るべきか?
・係わり方の傾向性はどうか?
・子供の時に親からどう係わられてきたか?
・その際、どんな刺激を受けて来たか?

上記のような、親からの係わられ方、触れ合い方、態度や言葉の受け方など様々な「係わりや触れ合いの刺激」を「ストローク」と言います。

ストローク(Stroke) = なでる、さする、愛撫する

ストロークは、相手(あるいは自分)の存在や価値、その行動を「認めている」ということを伝える何らかの「行動」や「働きかけ」を指しています。

別な言い方をすれば、「善意の関心」を向けていく何らかの行動や働きかけとなります。「善意の関心」は、潜在的な「善意の人間観」に基づいています。

「善意の関心」は、例えば、相手の「存在を認める」ことです。「存在を認める」一番簡単な方法は「見る」ことです。相手を見ることで、相手の「価値を認める」ことに繫がります。

ストロークの生理学的意味合い

エリック・バーン博士は、ストロークの生理学的意味合いについて、次のような考えを示しています。

「肌からのふれあい、言葉や態度からの刺激のストロークは、脳を中心として、身体全体の神経系の発達を刺激し、その機能の発達を促進している。ストロークが不足すると、その子の脊髄の神経細胞は委縮し、肉体的にも、情緒的にも、精神的にも、成長や発達が遅れる」

人間には、生まれながらにして「存在」「価値」を認めて欲しい、すなわち、「善意の関心を自分に向けて欲しいという欲求」=「ストローク欲求」を生まれながらにして持っています。

この欲求が、人生の初期に十分に認められると、自分や他人に対する基本的な信頼感と肯定感(=I'm OK You're OK)が築かれます。

この欲求が満たされないと、不信や疑い、必要以上の警戒などといったものを身につけてしまいます(=ストローク欲求)。

赤ちゃんの場合は、肌からの刺激を求める欲求として現れます。だから、抱かれたり、さすられたりせずにいると、精神的な問題だけでなく、身体的な成長が遅れる場合があります。

ストローク(善意の関心を向ける行為)には、「肯定的ストローク」と「否定的ストローク」があります。

肯定的ストローク

肯定的ストロークと言うのは、簡単に言えば、相手を受け入れるという姿勢を行動に表す行為です。

相手の立場からは、自分の存在や価値を「肯定的」に受け入れてくれ、ありのままの自分を承認してくれるという感覚がしっかりと伝わることです。

幼い子供に対する時のイメージを持って相手に接することである程度その感覚がわかるかもしれません。

子供にとって、「なでる」「さする」「抱く」「うなずく」「微笑む」「見つめる」といった感覚的な行為、そして言語が発達していれば「話をよく聴いてくれる」行為、それらは、気持ちが良く、安心でき、自分が受け入れてもらっているという感覚です。

否定的ストローク

肯定的ストロークは、自分を全面的に受け入れてくれる感覚を相手に与える者ですが、それに対して、「制止される」「叩かれる」「叱られる」「注意される」「助言される」「指導される」など、痛かったり、緊張したり、辛かったり、きつかったり、悲しかったりするような感覚、刺激を「否定的ストローク」と呼びます。

「肯定的ストローク」、「否定的ストローク」には、共通することがあります。

それは、子供の存在や価値、可能性を否定することは決してなく、「善意の関心」に基づいた、相手への成長や変化への期待が込められていることです。

否定的ストロークは、子供の行動や態度の一部について「現状ではいけない」「変えて欲しい」「もっと高めて欲しい」という思いを込めて現状を「否定」するのです。

たとえば、歩き始めたばかりの子供に「ここまでおいで。」といってこちらに歩かせるとき、途中で立ち止まってしまったとき、「よくそこまで歩けたね。おしいね。もう少しこっちにこられるかな」といって、出来たことは肯定し、ちょっとした課題を与えてあげることで成長を促そうとするようなことです。

しかし、「否定的ストローク」は誤った使い方をすると、相手を成長させるどころか相手のやる気を削ぐことがあります。

ディスカウント

「ディスカウント」とは、そのまま「値引き」のことです。ここで値引くのは、「相手(自分)の存在や価値、またその行為」で、それらを無に帰すものです。

すなわち相手そのもの、相手の行為を「軽視する」「無視する」こと、また「否定する」態度や行動です。

「ディスカウント」となる問題行動を起こす人は、乳幼児期に自身がディスカウント体験を積み重ねたことが原因と考えられています。

相手を成長させたいと心から思うならば、「否定的ストローク」と「ディスカウント」を混同しないよう十分に配慮することが重要です。

相手の話を聴く姿勢=傾聴基本姿勢とは?

あなたが人の話を聴こうとするとき、どんな態度で臨みますか?

相手に真剣に向き合おうとするとけっこう緊張するものです。そんなあなたの緊張感を、あなたの誠意の現れだと思って話してくれる人はどれくらいいるでしょうか?

緊張感でつい強張ってしまい相手に警戒心を持たせてしまうなんてことはありませんでしたか?

それらは、話を聴くためのコツ、技法を知っていれば解決できます。

相手の話を聴くときにやってはいけない7つのこと

やってはダメな事をリストアップしておきます。

無言

相手が話しているのを無言でやり過ごす。
あなたは真剣に相手の話を聴いているから「無言」になっている、あるいは、どう反応してよいかわからず固まってしまっているか?
悪意はないけどその態度「無言」はダメです。

見ない(無視)

相手が話をしているのに、あなたは手元の書類を凝視したり、相手に目を向けないということはありませんか?
次に自分が何を話そうか?などど考えて手元のメモばかり見ていたり、ちょっと恥ずかしくて相手をみることができない、など悪意はないけどその態度「相手を見ない」のはダメです。

無表情

相手がはなしているのに表情を変えず(もしかしたら緊張で強張っているかもしれません)、うなずきもせず、ひらすら無表情で話を聴くのは、悪意はないけどその態度「無表情」はダメです。

批判

相手が話をしていることについて「それは違うんじゃない」とか「それはダメだよ」など話すそばから批判していませんか?
まずは相手が何を言わんとするのかしっかり聴きましょう。悪意があっても無くてもその態度、頭ごなしの「批判」はダメです。

非難

相手が意見を述べるそばから「え、それはおかしいよ」「それはあなたが悪いんじゃないの」など難癖つけることで相手が話すことをやめてしまうかもしれません。悪意があっても無くてもその態度いきなりの「非難」はダメです。

攻撃

今度はあなたの聴く態度です。相手が話しているのに、あんたの話は聞く価値ないよ、といった態度、相手が話していることに、それはあんたが悪いんだよ、といった態度を示すこと、悪意がつまったその態度「攻撃」はダメです。

割り込み

相手が話している途中で、発言し始めて相手の話の腰を折る、相手に話す余地を与えないなど、相手が話す時間を無視して相手に話をさせないその態度「割り込み」はダメです。

いかなる理由があっても上記のような禁忌はおかさないよう十分に注意してください。自分が何のために相手の話を聴くのか、よく思い出して気をつけましょう。

相手に気持ちよく話をしてもらえる傾聴基本姿勢とは?

傾聴基本姿勢の目的は、相手に気持ちよく、より長く、より詳しく話をしてもらうことです。

できるだけ自分の話す時間を減らすことで、相手に語らせ、相手に自身が話していることに気づきを持ち問題が検討できるようにすることもできます。

相手の話を聴く際の前提は「肯定的ストローク」を相手により具体的に伝えることにあります。

傾聴基本姿勢を意識してみよう

目線をあわせるコツ

相手と向き合って話をする時に困るのが目線。いったいどこを見ればよいのか?
相手を正面から見ると目力が強すぎて相手に威圧感を与えたり、気恥ずかしくなったりします。
コツは、相手を見る際に、相手の目の位置から目線を下げて、口元を見るようにするといい感じです。

ボディランゲージ

基本は、相手の方にまっすぐ身体を向けます。
(1)やや「前傾姿勢」をとる
(2)表情豊かに「笑顔」で相手に接する
(3)相手の話を促すように「うつむく」

声の調子

相手に関心をもっていることを伝えるように意識する
(1)声の高低 :低め(落ち着いた印象)
(2)声の大小 :小さめ(出すぎない)
(3)話すスピード:ゆっくり(相手にしっかり伝わるように)

3歳児にお母さんが話すように気をつける。
スピードの調節をして会話のペースや緩急をつけることは重要。
相手の話を良く理解して聴きながら考えるにはゆっくり話させることも作戦の一つ。
相手の話を聴いている自分が、相手に対してどのように感じているかに気づいていることは大切です。

話の流れ

やってはいけないことにあった「話の腰を折る」ことのないようにきをつけます。
(1)話題を変えない
相手がある話題について興味を持って話し始めたら、それを変えてはいけない。
(2)話を変えたいときは?
相手の話題を変える時には、その目的を明確にして相手に伝えてください。
例えば、
「これから打ち合わせがあるから時間がないので」
「その話なら今度話し合いましょう」
「その話ですが、すでに聞きましたよ」など。

相手と話し始めて、相手の話をどう聞けば良いか迷ったら、傾聴基本姿勢を思い出して冷静に対応してください。

本記事の要点

  • コミュニケーションを図る相手には、あなたの話を聴かせていただきますという姿勢を率直に表すと良い。
  • 対人関係を良好に築くには、周囲の人とどう係わるべきか、相手の係わり方の傾向はどうか、子供の時の親との係わり方やその際にどんな刺激を受けて来たのかなど、会話から読み取れる感受性を持てるよう心がけましょう。
  • 相手の存在や価値を認めるには、「善意の関心」を持って相手を「見る」ことが重要です。
  • 善意の関心には、全面的に相手を受け入れる「肯定的ストローク」と「相手の成長を願い促す「否定的ストローク」のバランスが大切です。
  • コミュニケーションにおいて、相手の価値を貶めるディスカウントや無言、無視、無表情、批判、非難、攻撃、割り込みなどは行わない。
  • 傾聴基本姿勢の目的は、相手に話をさせること。まっすぐ向き合い、目線は口もとに、やや前傾姿勢をとり、笑顔、共感のうなずきを行い、話すときは、ゆっくり、小さめ、低めにし、話すペースの主導権が持てるようスピードの調整をおこなうと良い。

以上、「傾聴の基本姿勢と善意の関心の重要性~とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編2」と題してお届けしました。

次回は、「聴く技術=傾聴技法」についてお届けします。

とある必勝コミュニケーション術参照リンク

以下のリンクより、スキルのおさらいができます。

#1 とある管理職が伝えたいフリーランス必携のビジネススキル3つ
#2 パーソナリティとコミュニケーション – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~導入編
#3 パーソナリティの分析 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~分析編
#4 聴くから始めるコミュニケーションスキル – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編1
#5 傾聴の基本姿勢と善意の関心の重要性 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編2
#6 知っておきたい傾聴技法 Part1 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編3
#7 知っておきたい傾聴技法 Part2 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~スキル編4
#8 コミュニケーションスキルの疑似体験 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~統合編1
#9 コミュニケーションスキルの疑似体験 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~統合編2
#10 コミュニケーションスキルの疑似体験 – とある管理職が伝えたい必勝コミュニケーション術~統合編3

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