「人はなぜ山に登るのか」 イギリスの登山家、ジョージ・マロリーは「なぜ、山に登るのか。そこに、山があるからだ」と言ったそうでです。わかるようなわからないような言葉ですが、これは、実際には誤訳とも言われ、実は「そこにエベレストがあるから」が正しいとも言われています。
世界で一番高い山の山頂に、人類で一番最初に到達したいということであれば、理解できる言葉だなあと考えます。彼は、エベレスト山頂(8849m)を3度目指しましたが、登山中に悲劇の死を遂げています。
日本で一番高い山は、言わずと知れた富士山(3776m)です。コロナ禍になる令和元年までは、毎年20万人以上の人が富士山を登山していました。日本に生まれたら、富士山を意識しないで生活している人って皆無なのでは?と思うくらい、日本人の魂の拠り所ではないでしょうか?
自分の話で言うと、子供の頃、遠い記憶の中で、家族旅行の際、車で五合目まで行ったことは覚えていますが、実際に登ったのは大人になってからです。2017年の夏に人生で初めて、山頂まで登ったところです。
実はここ4年の間に富士山にはトータルで6度訪れています。このうち山頂に到達したのは4度です。このうち、山頂の中の最高地点である剣ヶ峰に到達したのは、2度になります。
富士山は2013年に世界遺産に登録されました。また、富士山に限ったことではありませんが、2016年1月1日の祝日法改正で、山の日が新設されたところです。今回は私自身のこれまでの登頂を振り返ってみたいと思います。
はじめに
東京都は2021年9月10日、1242人(前日1675人)の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表しました。
政府は、政府は、東京や大阪など19都道府県について、「緊急事態宣言」の期限を9月12日から9月30日まで延長することを決定しました。岡山と宮城については9月12日で解除し、「まん延防止等重点措置」に移行するため、8県について9月30日まで「まん延防止等重点措置」が適用されることになりました。
オリンピック、パラリンピックが無事終了しました。この2ヶ月の間に国内の感染者は爆発的に増加し、現在は未曾有の危機の中にいると言えるでしょう。
ワクチン2回目の接種が国民の5割に達したところですが、気温が低下していく年末にかけて、どれだけ感染者を減少させられるかどうかが、2022年の世の中の状況を左右しそうです。9月に入り感染者数がピークアウトしたような気もしますが、当面は気が抜けない日々が続きそうです。
登山スタイル
富士山に登るというと、一般的には、登山靴を履いて、リュックを背負って歩いて登るというイメージをする人が多いと思います。実際に、富士山に登る人の多くが、そういうスタイルで登ります。
御来光(頂上で日の出)を見るために、前日から登り始め、山小屋で仮眠をして、暗いうちに再び登り始めるスタイルを取る人もいますし、富士登山ツアーなどを利用して登る人達もいます。
私の場合は、ランニングの延長で富士山に登っているので、日帰りで、(一般の人よりは)軽装で、徒歩、早歩き、小走りで登ります。「トレイルランニング」形式で登ります。登山には違いませんが、登山という言葉はいつも使っていません。
「トレイルランナー」は「登山者」と比べると、見た目から出立ち、服装が違うので、「トレイルランナー」なのか「登山者」なのかは一目で分かります。
振り返る
直近、過去4年に6回、富士山に訪れたところですが、振り返ってみたいと思います。このうち山頂に到達したのが4回(2、3、5、6度目)、このうち剣ヶ峰到達・お鉢巡り(3、6度目)ができたのが2回になります。
1度目
自身は一度も出場したことはありませんが、知人が出場する富士登山競走を応援するために、6合目まで登って待機しました。
スタート地点の富士吉田市役所から登ってきたランナーを6合目で力の限り応援しました。富士登山競走は、ゴールが富士山頂という世界でも稀なクレイジーなレースで、外国人も多く参加します。
このときは、富士山パーキングまで、車で行き、車を駐車場に停めて、5合目までバスで行きました。例年、7月から9月上旬までは、マイカー規制といって5合目登山口へアクセスする富士スバルライン等は自家用車で通行することはできないからです。
2度目
1度目の翌月の山の日か山の日近辺に、馬返しから山頂まで一気に登りました。馬返しというのは、年間を通して、常にマイカーで富士山頂に近づくことができる地点です。標高は1450mの地点です。
その名のとおり、馬返しからは、馬が登ることができないくらい、険しい山道が始まります。吉田口登山道の中継拠点です。馬返しの駐車場に車を停車させ、ここから自分での足で山頂まで登りました。初の富士山頂到達は達成感と満足感で溢れました。
3度目
再び、馬返しまで車で行き、ここから自分の足でスタート。5合目で仲間と一旦落ち合い、そこから山頂へ。この日は天気が良かったので、山頂をぐるりと一周するお鉢巡りもしました。
お鉢巡り?って何?という人もいるかもしれませんが、富士山の山頂は火口で、すり鉢の形状になっています。この鉢の一番高いところは、歩道になっていて、一周できるのです。このお鉢巡りをすると何が良いか?というと、3776mの剣ヶ峰まで到達することができます。
最もポピュラーな吉田ルートで登った場合、山頂の久須志神社の標高は約3700mです。山頂といっても、厳密に言うと山頂付近なのです。富士山の高さとして知られている最高地点の3776mに行くには、さらに移動が必要なのです。
4度目
富士山頂を目指して、いつものようにマイカーで馬返しへ。この日は朝から天気が悪く、小雨が降っていました。数日前から登山指数を確認はしていたものの指数がなかなかAにはなりません。登山指数というのは、登山をするための快適さを表す指標です。
Aが一番良くて、Cが一番悪いです。Cの状態で富士登山するのは危険です。こういう日は登山はやめましょう。最低でもB以上がチャレンジに向けての条件です。言うまでもなく、登れば登るほど気温は下がります。
標高が100m上がると、0.6℃下がるといわれています。地上どのくらいの標高かにもよりますが、地上が30℃だとしても頂上は10℃くらいになります。夏季シーズンでないと、安全に登ることはできません。
この日は、6合目まで、登りましたが、頂上を見上げると、雲が多く、天気が良くなる気配がありません。雨のせいか少し寒く、この日はここで断念。勇気ある撤退をして、下山しました。
5度目
前回、6合目で断念したため、今度こそは山頂へ行きたい!という気持ちから、4度目の2週間後にチャレンジ。いつものように馬返しからスタート。この日は順調に山頂まで到達しましたものの、頂上は寒くて、7.8℃の気温でした。
頂上まで行き、頂上の山小屋でうどんを注文して食した後、山頂の最高地点の剣ヶ峰(3776m)に行くことなく、すぐに下山しました。当時を思い出すと、ウィンドブレーカーを上下着てもとても寒くて、これ以上頂上に長く居ることは困難な状況でした。
6度目
5度目の1週間後、登山指数Aとなる日がやってくることが予測される日がありました。な、なんと、この月は実に3度目の富士山登頂を行うことに。この日は、剣ヶ峰到達とお鉢巡りの完遂のため、富士山パーキングまで車で行き、バスで5合目登山口へ。
天気が良い日に登りたいのは皆同じ。朝5時半には、富士山パーキングに到着していましたが、バスに乗る人で行列ができていました。この日は今までで、一番天気に恵まれた日でした。剣ヶ峰に着いたときも、暖かく感じました。
当日、地上では猛暑日でしたが、頂上は比較的暖かくて、とても過ごしやすかったです。山頂から見える景色はいつも目を見張るものがありますが、今までも最も景色が良かったといっても過言ではありません。剣ヶ峰到達とお鉢巡りを達成し、無事下山しました。
覚えておきたいこと
7合目、8合目は複数存在する
富士山を登って行くと、頂上まで〜合目の表示があり、ポイントがあります。5合目が富士山の高さのちょうど半分?かというと決してそうではありません。5合目の時点で標高は約2300mあります。しかも、登って行くとわかるのですが、7合目や8合目などのポイントは一つではありません。
7合目もいくつかあって、8合目もいくつかあるのです。7合目、8合目と称する山小屋は何箇所もあるのです。7合目に到達した!と思ったら、さらに登っても7合目、またさらに登っても7合目、さらにさらに登っても7合目という状態がしばらく続きます。
ですので、初心者は心が折れないように留意する必要があります。ただ、裏を返せば、それだけ休憩ポイントが複数あるということです。ここで一時的に座って休んだり、地上より数倍の値段はしますが、水分補給のためのドリンクを購入することが可能です。
ちなみに、9合目に山小屋はありません。8合目の御来光館を通過したら、最後の力を振り絞って頂上まで行きましょう。
登山ルートは複数存在する
富士山頂まで到達するルートは4ルートあります。一番ポピュラーなのが吉田ルートです。私自身、このルートでしか登ったことはありません。一番ポピュラーなため、一番混みます。
でも裏を返せば、山頂を目指す仲間がたくさんいることを意味しますので、勇気とモチベーションを得られることになります。
どこのルートで登るかはお住まいの地域からのアクセスのしやすさにも影響されるとは思いますが、初心者には売店や救護所が一番整っていて、下山道が登山道と明確に別れている吉田ルートをお勧めします。
山用のウェア、靴は必須
登山者でも、トレイルランナーでも、山用の靴は必須です。私はいわゆる登山者でなく、ランナー上がりで山に登っていることもあり、重量のある登山靴は履きません。動きやすくて耐久性のある靴を選んでしまいます。
直近の話で言うと、salomon、north face、nikeのトレイル用の靴を履き比べて、最終的にnikeシューズを選びました。王道はsalomonです。悩んだ場合はsalomonを選ぶことをお勧めします。
山の天気と女心は変わりやすいと言われますが、富士山は標高も高く、独立峰のため、本当に天気が変わりやすいのです。登っている最中に晴れていても、上を見上げたときに、雲があれば、その後まちがいなく天気が変わります。
しかも雲の中に入ると急に気温が下がりますので、注意が必要です。ですので、上下のレインウェアは必須となります。普通のウィンドブレーカーでも良いのですが、できればsalomonなどの専門店で購入することをお勧めします。
なぜかというと山用のウィンドブレーカーは一般的なウィンドブレーカーと比べて、畳んだときの圧縮性に優れており、荷物の量を明らかに小さくまとめることができるからです。
山を登るときは、自身の命と安全を守るために最低限の装備は必要となります。最低限必要なものを体の負担無く、持っていくことはとても大事です。私の場合は、上はsalomonで、下は、コスト縮減のためにワークマンで購入しました。
小銭は必須
登山中にトイレに立ち寄ることはあります。この場合、注意したいのが、登山道に設置されているトイレを利用するには200円かかります。山頂に行くと、このトイレ利用料が300円になります。
両替器などもありませんので、小銭を何枚か携帯して登山に臨んで下さい。トイレの入り口にコインを投入する箱がありますので、投入してから用を足すことになります。
また、飲み物の値段も地上で買える金額より高いです。高い地点に行けば行くほど、値段は高くなります。頂上に売っている500mlのスポーツドリンクやコーラは500円かかります。高ければ、高いほど輸送にかかる手間やコストがかかるのでこれはやむを得ないことだと思われます。
吉田ルートの下山道には注意を要する分岐点がある
頂上に登って達成感と満足感に浸った後は、下山することになります。吉田ルートは登山道と下山道が明確に分離されているため、人の交錯のリスクが低い安全性の高いルートです。
但し、注意を要する箇所があります。非常に紛らわしい、分岐点があります。この分岐点を誤ったルート選択してしまうと大変なことになってしまいます。元のルートに戻れなくなってしまうことになるのです。
八合目の下江戸屋分岐点で、須走ルートを下ってしまうと、吉田ルートに戻れなくなってしまいます。この分岐点で誘導してくれる方がいる場合は、そのリスクは下がりますが、頭に入れて下山に臨みましょう。
まとめ
今回はこれまでの富士山登頂の自分史を振り返ってみました。
馬返しから山頂まで往復すると、トータルの距離では約20kmにはなりますが、平坦な20kmとはまるで異なります。上りも下りも筋肉に負荷をかけて移動することになります。決して楽な道のりではありません。
馬返から六合目までは、木陰の中、ひたすら登り続けることになります。六合目を越えると、視界が開けますが、直射日光や、雲の影響をもろに受けることになります。富士山を下から登って行くと、森林限界を体感することができます。上に行けば行くほど、植物は無くなり、岩や砂利の斜面を登って行くことになるのです。
富士山に行くなら、なるべく仲間と行きましょう。慣れている人は、一人で登ってしまう強者もいますが、できることなら仲間と登りましょう。危険に対するリスクヘッジにもなりますし、頂上の到達したときの喜びを分かち合うこともできます。
この先、一生の間に何回登れるのだろうか?違うルートで登ったらどんな景色が見られるのだろうか?楽しみ方はいろいろ、天気は毎回変わるため、登るたびに違うシーンを感じることとなります。
毎回晴天だったら良いのになぁと思うことはありますが、裏を返せば、頂上まで登れる日というのはまさしく幸運な日でもあります。登山指数Aの日に行って極力良い環境で登りましょう。
きついけど、また登りたい、富士山。
昼は冴えない凡人サラリーマン。夜は輝くブロガーを目指して亀スピードで邁進中。
趣味はランニングと家庭菜園。地元のマラソン大会では兎スピードの健脚で優勝回数を重ねています。夢は自給自足。食卓にある野菜は全て自分で育てて、用意したい。
シンプルでスマートな暮らしを目指して、日々思考錯誤奮闘中です。